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yuki002さん
 
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6-2.イベントの実装 [ソフトウェア考]  
詳細/おすすめ(2268/0) | ソーシャルブックマーク(0)  2009/05/26 03:15

6-1 ではシステム(エンジン)とシナリオの分離について考察しましたが、

このテキストではMMORPGとの関わりを考察したいと思います。

 

さて、MMORPGでは特定期間だけ限定的なクエストを追加したり、特定時刻に「戦争」などを開催したり、

GMなど特権プレイヤーによる限定的なプレイを【イベント】と呼んでいます。

要素としては上記の例をそのまま項目にする事ができます。

  1. シナリオの限定期間追加
  2. シナリオの限定期間許可
  3. シナリオへの人為的介入

という事になります。

それぞれについて考察てみます。

 

 

1.シナリオの限定期間追加

これはもう 6-1で説明済みの部類です。

サーバであろうとクライアントであろうと、シナリオとエンジンは独立しています。

イベントとしてシナリオを追加するだけで済みます。

サーバ側は純粋にフラグ判定処理のシナリオ追加、

クライアントは表現のためのキャラクターやBGM、効果音の追加です。

そしてその追加はゲーム開始時のシステムアップデートによって行われます。

エンジンが修正される事は稀で、アップデートの大部分は表現のための追加データです。

もちろんイベント期間が終われば追加シナリオデータは削除されます。

とは言っても、純粋にシナリオだけが削除され、キャラやマップは今後の使い回しを考え、

現実には削除されない場合もあります。

いずれにしても、イベントの追加でエンジンそのものが書き換えられる事は稀です。

 

2.シナリオの限定期間許可

ゲーム内でプレイヤーは特定陣営に参加し、

相手の陣営との戦争するイベントのあゲームがあります。

そのイベントは、サーバ側で自動的発動されたり、

GMなど特権ユーザーがマネージメントしたりします。

このようなイベントは、実はシステムにあらかじめ組み込まれていて、

通常は発動しない設定になっています。

発動させるのは、特権ユーザー(GM管理)だけなのです。

これはイベントとしては極めて原始的な手法で、ネットワークだからこそ実現できる手法です。

うんと簡単に言えば、

イベントのスイッチを入れるのが管理者で、シナリオは元から存在する

と言う事になります。

スイッチのOn/Offっだけでは 厳密にはイベントとは呼べないでしょう。

 

3.シナリオへの人為的介入

これは、システム的に言えば【割り込み】です。

通常のプレイに対してGMなどの管理者がゲーム世界に介入しイベントを行います。

例えば特殊なアイテムを配ったり、特殊なキャラクターでプレイヤーを監視したり、

BOT発見の巡回も強いて言えばこれに当たります。

事前にシナリオを拡張しておき、特定の場所にボスキャラを大量に出し、

その討伐に管理者が特殊アイテムを与えたり褒賞する事もあります。

1.との複合パタンもあると言う事です。

単純にGM(管理者)との対話だけの場合も有り得ます。

このイベントの特徴は通常では有り得ないものである事です。

まさに管理者の人為的介入そのものです。

 

 

これら3パタンについて纏めてみると…。

イベントは MMORPG で無くてはならない物である事が判ります。

通常MMORPGはキャラクターレベルの存在するものが大部分です。

レベルが高くなってくるとキャラクターの成長が極めて緩慢になります。

そのままではゲームを続けるモチベーションが下がってしまいます。

これを解消する目的でイベントが行われる訳です。

頻繁に拡張されないゲーム(マップ追加など)では どうしてもモチベーションが下がります。

プレイヤー(顧客)を繋ぎ止めておく手法がイベントそのものなのです。

 

アイテム課金のゲームでは見た目を変えるアイテムが販売されます。

プレイヤーがそれで満足してしまえば、やはりモチベーションが下がり売り上げも下がります。

何よりエンタメ企業なのですから、顧客に楽しみを与えて代価を頂くわけです。

マップやモンスターの追加拡張が頻繁に行われないのなら、

その代用として頻繁にイベントを行うのが企業努力と言えます。

 

MMORPGではイベントを見れば企業体質が明確に判ります。

安全性に問題があるのはイベント以前の問題であり、最初からイベントを行う資格さえありません。

イベントはユーザーが何を望むかを知るためにも行われ、

エンタメ企業の基本とも言えるのがイベントそのものなのです。

なぜなら、ユーザーを楽しませ代価を頂くのがエンタメ企業だからです。

楽しめない顧客は去って当たり前です。

それを繋ぎ止めるのがイベントという訳なのです。

 

ここまで考えてみると、オンラインゲームだけでなく、コンシューマーゲーム企業も、

遊園地経営会社も みな同じである事が判ります。

楽しめれば次回を期待して当然だし、楽しめなければ売れません。

エンタメ企業はそのために努力します。

 

今回は結論が経済や倫理になってしまいましたが、

イベントとは顧客を繋ぎ止めるために行われる

というご理解で よろしいかと思います。

 

また【ソフトウェア考】というカテゴリではありますが、

ソフトウェアとはコンピュータプログラムだけを指すものではなく、

データを含めた、あらゆる物の考え方を指すとご理解ください。

現実にソフトウェアをコンピュータ上で再現するためには、その物事に熟知していなければなりません。

机上の空論では話にならないのです。

作成も運用も、それについて熟知している必要がある訳です。

事実、ソフトウェアの開発を行う場合、運用について熟知するため「要件定義書」の作成から始まります。

なぜなら 作成者はプログラミングに熟知していても、業務に熟知していないからです。

本来は業務を行う現場で作成されるべきものなのですが…。

 

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