6-1 と 6-2 ではイベント実装や運用目的について書きましたが、
この項では実際の企画や運用について考察してみたいと思います。
一般的なMMORPGではキャラを成長させる事も楽しみ方の一つです。
キャラのレベルが上がると、それに適したMOBを狩る事になり、自然と狩場が決まってしまいます。
つまりプレイヤーのレベルによる住み分けが決まってしまうと言うことなのです。
ゲームのサービスが開始された直後では低レベルキャラの狩場が混雑します。
やがて、それらのキャラが成長すると高レベルキャラ用の狩場が混雑し、低レベル用の狩場は過疎化します。
これではプレイヤーの分布に偏りが生じ、新規プレイヤーは過疎マップでプレイする事になり
面白みが半減します。
このような状況を緩和するためにイベントを行えば、顧客(プレイヤー)も増え…。
という訳で、以下のイベントを行うとします。
イベント例1:
低レベル狩場の特定MOBのドロップアイテムを集め、報酬としてイベントアイテムを配布する。
これねぇ…。
月並みなイベントなんですよね。
それに実際に行われると案外障害が目立つんですね。
低レベルの狩場に高レベルプレイヤーが集まり、狩場を独占してしまうんですね。
プレイヤーレベルによるドロップ率の制限を課すと収集に時間が掛かり、独占状態を長引かせてしまいます。
どちらにしても初心者の狩場で独占が行われるため、
初心者にとっては高レベルプレイヤーが邪魔になってしまうんです。
で解決策は…。
イベント例2:
プレイヤーのレベルに応じたマップで特定MOBのドロップアイテムを集め、報酬としてイベントアイテムを配布する。
こうなるのですが、そうするとマップに対するプレイヤーの分布の偏りは解消されません。
そこでまた改善です。
イベント例3:
プレイヤーのレベルに応じたマップで特定MOBのドロップアイテムを集め、
報酬のイベントアイテムを初期マップにて配布する。
こうすればイベント期間中は低レベルプレイヤーと高レベルプレイヤーが干渉せず、PTを組む機会も増え…。
残念でした。
PTでは経験値配分の制限から極端なレベル差があるとPTしても…という訳なのです。
それを補うため「師弟システム」を取り入れ、特定条件でのPT(もどき)を許可するシステム改修が
多くのMMOで実装されています。
じゃ、ソロのプレイヤーは?
そもそもMMOとはPTを原則として成り立つように設計されるものです。
本来ソロでは難易度が高くレベルが上がるごとに苦労します。
ゲーム運営者はソロプレイを禁止すべきなのでしょうか?
それは違います。
プレイスタイルはプレイヤーによって異なりますから、ソロプレイにも柔軟に対応すべきなのです。
それが故にゲームバランスの調整が難しいのです。
このようにイベントを企画し運用するには様々な条件が絡んでいます。
また運営者は慈善団体ではなく企業なのです。
イベントにおいても利益追求可能な運用を行います。
そしてプレイヤーは、それを面白いと思うかどうかで評価します。
大きなイベントごとにシステムが改修される事が多いのは、こういう理由によるものです。
単純なイベントでは もはや集客にならないのです。
なぜならオンラインゲームは他社でも似通ったシステムで運営されていて、
「どちらが面白いか」という基準で評価されれば、顧客(プレイヤー)は面白いと思えるMMOに
移籍してあたりまえだからです。
特にアイテム課金のゲームだと、無課金ユーザーにこの傾向が多いです。
(何を隠そう この私も無課金プレイヤーですから。)
と言う訳で、課金イベントなども企画されたりします。
イベント例4:
イベント参加課金アイテムを購入した者だけがイベントに参加でき、報酬アイテムが取得できる。
私は本来、こういうイベントが望ましいと思っています。
また課金アイテムや報酬アイテムは
能力Upや経験値増加などゲームバランスに影響を与えるモノは無くすべきだとも思っています。
高レベルになり、全てのクエストをコンプしたプレイヤーの興味の対象は何でしょう?
ゲーム中でやる事が無くなったプレイヤーは何をすれば楽しめるでしょう?
実はそれこそがイベントなのです。
プレイヤーの成長を促進させるアイテムの販売を行うと言うことはプレイヤーのゲーム滞在時間を短縮し
「飽きる」を促進させてしまいます。
できるだけ長期間プレイさせないと収益に繋がらないのです。
ですが、成長に時間が掛かるシステムだと、それに達するまでに飽きてしまいます。
飽きる事が無いようにするためにもイベントを行わなければなりません。
非常に難しい問題です。
そして、こういう面に運営者の方針や意思が反映されます。
当然、すべてのプレイヤーが満足できるモノは実現不可能なのです。
利益を上げ続けるためにはプレイヤーと運営双方が満足できなければならないと考えた時、
適正なイベントを定期的に持続させる必要のある事が明確になります。
イベントの実態は客引きである
と言うのが私の出した結論なのですが、読者の皆様はどうお考えでしょうか?
そして満足できないイベントが連発される事態とは何を意味するのでしょう?
それこそ「推して知るべき」でしょうね。
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