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第壱話 【見知らぬ世界】[熱血江湖物語]  
詳細/おすすめ(3559/0) | ソーシャルブックマーク(0)  2013/05/06 21:45

この物語はフィクションであり、登場する人物・組織名・地名等、実際のゲームと同一の名称が登場する場合がありますが、一切関係はありません。

序章

 

 少年はマンションのエントランスを出て一目散に駆けていく。

 彼の名は『輝馬 翔』。一駅離れた中学校に通う、どこにでもいる十四歳の普通の少年である。

 今朝は寝坊してしまい、慌てて部屋を飛び出していた。

 

 駅の改札を抜け、雑踏を掻き分け、ホームに繋がる階段を駆け下りていくと、発車の合図を知らせるアナウンスが流れ始めた。翔は階段を全速力で駆け下りた。

 電車のドアに辿り着こうとしたその時、無常にもドアは閉まり、電車はゆっくり発車して行った。

 「ハァハァ……間に合わなかった……」

 息を切らせホームの柱にもたれ掛かる翔。

 「次の電車で何とか間に合う……かなぁ……」

 翔は息を整えると、電車を待つ列に並んだ。

 

 ……カ……ケ……ル……

 翔は不意に名前を呼ばれた気がして、辺りを見回した。しかし雑踏の中に知った顔はいない。

 ふと反対側のホームに目をやると、少女の姿が目に入った。翔と同じくらいの年で、白いセーラー服を着た緑の髪の少女がそこに立っていた。

 風になびくその緑の髪に、目を奪われる翔。少女の姿に見惚れていると、到着した電車の車体が翔の視界を遮った。

 扉が開くと、翔は乗客に押されるように電車に乗った。翔は直ぐに少女の姿を追ったが、すでに少女の姿はなくなっていた。

 

 電車が駅に到着すると、翔は再び走りだした。

 「ハァハァ、ちょっとギリギリかなぁ。よし! 近道だ!!」

 駅と学校の間には丘があり、通学路は丘を迂回するように続いていた。

 丘の中腹には寂れた神社があり、その境内を抜けると学校への近道になった。近道と言っても五分も違わないのだが、今の翔にとっては貴重な五分である。

 「あとはこの石段を降りれば……」

 その時だった。

 ……カ……ケ……ル……

 再び翔を呼ぶ声が聞こえた。

 「え?」

 後ろを振り返ろうとした瞬間、誰かに押されたかのようにバランスを崩し、倒れ込んだ。

 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 翔はそのまま石段を転がり落ち、やがて意識を失った。

 

 

 

第壱話 【見知らぬ世界】

 


見知らぬ世界


 気が付くと、翔は草原に倒れていた。

 「痛てて…………あれ? ここって……」

 状況が良く理解できない翔。

 「確か僕を呼ぶ声がして……ダメだ、その後が思い出せない……」

 翔は混乱していた。

 突然目が覚めたら草原の真ん中だったと言う、そんなアニメのような事が起きたのだ。当然と言えば当然である。

 何とか状況を把握しようと辺りを見回したが、人影も無く、見渡す限りの草原だった。

 「これからどうしよう…………とにかく誰か探さないと……」

 このままじっとしていても始まらない。翔は立ち上がった。

 ガサガサッ

 「な、なんだ?」

 草むらの中に何かいる。翔は音の方を振り返った。

 「グルルゥゥーーー」

 「お、狼!?」

 そこには牙を剥き出し、今にも翔に襲いかかろうとしている狼がいた。

 翔は咄嗟に傍に落ちていた棒を掴み、身構えた。

 「く、来るな!! あっちへ行け!!」

 「ガルルゥゥーーー」

 狼はじりじり間合いを詰め、翔を目掛け飛びかかって来た。

 「グゥァァァァーーーー」

 「うわぁぁぁぁぁぁーーーー」

 翔は必死で棒を振り回す。

 バキッ

 「キャウン!!」

 棒が狼の頭に当たり、地面に落下した。当たり所が良かったのか、気絶したようだ。

 「た、助かった……」

 何とか助かったが、ここは相当危険なようだ。今の内に逃げよう……そう思った矢先……

 「ガルルゥゥ」

 翔は自分の置かれた状態に気が付いた。

 仲間の異変を察知したのか、他の狼たちが集まって来ていた。一匹だけなら何とかなるかも知れないが、一度に襲われたら防ぎ様が無い。

 「グゥァァァァーーーー」

 案の定、一斉に襲い掛かる狼たち。

 「もぅダメだ……」

 翔は頭を腕でかばい、屈みこんだ。

 タタタタタッ

 何かが勢いよく近づいてくるような音がした。

 次の瞬間

 「バシッ」

 「ドスッ」

 「ペチッ」

 キャンキャンキャンキャン……

 「あれ? 助かったのか?」

 なぜだか分からないが、狼たちが逃げ去る足音がして、辺りは静かになった。

 「だいじょうぶオパ?」

 声がする。どうやら誰かが助けてくれたようだ。

 「はい、ありがとうございました。おかげで助かりまし……た?」

 翔は立ち上がりながら、声がした方に振り向いた。しかし、確かに声がしたはずだが、人影らしきものは見当たらない。

 「どこ見てるオパ? こっちオパ」

 「あれ? 下の方から声がする?」

 翔は視線を落とした。

 「えぇ!!」

 翔はその光景に思わず声を上げた。

 「なに驚いてるオパ?」

 翔の視線の先には、風呂敷包みを担いだ黄色い物体が立っていた。

 翔は気を取り直して、この『黄色い生物』に話しかけた。

 「あなたが助けてくれたんですか?」

 「他に誰がいるオパ?」

 確かにこの『黄色い生物』しか居ないだが……

 「こんなところで昼寝してたら、狼に襲われるのは当たり前オパ」

 「はぁ……」

 「じゃ、ボクはお使い途中だからもう行くオパ。気をつけて帰るオパよ〜」

 そう言うと、その『黄色い生物』はその場から立ち去ろうとした。

 「あ、あの!!」

 「何オパ?」

 「ここ、どこですか?」

 「オパ?」


【次回予告】


 助けてくれた『黄色い生物』に連れられて、『ご主人様』に会いに行くことに。

 ご主人様ってどんな人だろう? いや、そもそも人なのか?

 次回 第弐話 【出会い】

 あ、置いてかないでくれ〜

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