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第参話 【玄勃派】[熱血江湖物語]  
詳細/おすすめ(3601/0) | ソーシャルブックマーク(0)  2013/05/10 09:02

この物語はフィクションであり、登場する人物・組織名・地名等、実際のゲームと同一の名称が登場する場合がありますが、一切関係はありません。

第参話 【玄勃派】

 


前回のあらすじ


 狼に襲われたところを『オパオパ』と言う神獣に助けられた翔は、オパオパのご主人様『シャオリン』と出会う。

 翔の話を納得はしていない様子のシャオリンだが、とりあえず力になってくれるであろう、『玄勃派長』に相談してみることとなった。


江湖


 玄勃派に向かう途中、翔は色々とこの世界のことをシャオリンに聞いていた。

 

 この世界は『江湖』と呼ばれる世界で、今いるこの一帯は『中原』と呼ばれる場所らしい。

 正派と邪派と言う二つの勢力が対立していて、かつては大きな戦争が起こったと言う。その結果、両勢力ともに大勢の犠牲者がでて、これから行く玄勃派が中心となり、二つの勢力の間に立つことで、今日の均衡を保っているらしい。

 ただそれも昔の話で、戦後に生まれた若い世代は、そんなしがらみも無く、単に武術と己を鍛えるために、どちらかの勢力を志願しているようだ。

現にこれから向かう玄勃派の街は中立地帯で、正派も邪派もなく人々が行き交っていると言う。

 

 「ところで、シャオリンさんって幾つなんですか?」

 「歳? 幾つに見える?」

 その返答が一番困る。パッと見た感じ若く見えても、女性は化粧で全く別人になってしまう。見かけに騙されてはいけない。

 「んー見た感じ二十代に見えるんですけど……」

翔はそう答えた。なんともアバウトな返事だろう。

 「あら、アリガト♪」

 手に持った木の枝を振りながら、上機嫌のシャオリン。どうやら実年齢はもっと上のようだ。

 「ご主人様は若作りだけど、こう見えて実は三十ろ……むぎゅぅぅぅぅ」

 「オパオパちゃん? なんか言ったかなぁ?」

 そう言いながらシャオリンは、オパオパの顔を両手で強く挟み込んでいた。

 「いいぇぬぁにむぉいっとぅぇむぁすぇん……」

 「あははは」

 

 しばらく歩くと、川の向こうに塀に囲まれた大きな街が現れた。

 「あれが玄勃派の街ですかぁー。大きい街ですね」

 街の周囲を高い塀が取り囲んでいるので、街の様子は良くわからないが、高い塔や大きな建物の屋根が見え、所々湯気が立ち上っているのが確認できる。

 街に近づくにつれ、活気のある掛け声や街を行き交う人々の声が聞こえてきた。街の中は相当賑わっているようだ。

 翔たちは正面の大きな門ではなく、ちょっと小さめの入り口から街に入った。路地を抜け大通りに出ると、辺りは行き交う人々でごった返していた。

 通りの横には、野菜や魚介類などの食材から、宝石のような石や武器と言った宝飾品、、はたまた何に使うか分からない正体不明のものまで、さまざまな露店が並んでいる。

 翔は露店に目を奪われながらも、シャオリンたちの後について大通りを歩いて行った。

 大通りを少し歩くと、階段を下りたところに大きな広場があり、その真ん中に高い塔が立っていた。どうやら、シャオリンたちはそこに向かっている様だった。


玄勃派長


 「ばぁちゃんいる〜?」

 シャオリンは入り口の扉を勢い良く開けた。

 部屋の中を覗くと、そこには沢山の本や書類が並んだ本棚がいくつもあり、部屋の中央にはしっかりとした造りの大きな机があった。机の上には沢山の書類が積んである。だが、辺りを見回しても誰もいない。

 「誰も居ませんねぇ……」

 「あれ? この時間なら居るはずなんだけどなぁ……ばぁちゃんいないの〜」

 すると奥にある階段の上から声が聞こえた。

 「なんだい、朝っぱらから騒々しいねぇ全く。そんな大きな声で呼ばなくても聞こえてるよ」

 「なんだ、いるなら返事してよ」

 「あんたが来ると、ろくでもないことが起きるからねぇ」

 そう言いながら、白と赤の着物を着た老婆が階段を下りてきた。

 老婆と言ってもよくある漫画のように腰が曲がった所謂『妖怪おばば』ではなく、背筋がぴんと伸び、玄勃派を束ねる派長に相応しい威厳を放っていた。

 「人を疫病神みたいに言わないでよ」

 シャオリンは不機嫌そうに口をへの字に曲げた。

 「そんなことより、その子かい? 他所から来たって言うのは」

 「あれ? この子知ってるの?」

 「昨日、オパオパと見慣れない格好をした若い男が、一緒に歩いてるのを見かけたって者がいてねぇ。そろそろ来る頃だと思ってたんだがね」

 そう話しながら、玄勃派長は机の方に歩いて行き、奥の椅子に腰を下ろした。

 「な〜んだ。なら話は早いわね」

 「立ち話もなんだ、そこに座りな。話を聞こうじゃないかい」

 「ほらっ」

 シャオリンは翔の背中を軽く押した。

 「あ、はい。」

 翔は机の前の椅子に座ると、昨日の出来事を玄勃派長に話し始めた。

 シャオリンは入り口近くの本棚にもたれかかり、オパオパは脇に置いてあった台の上に座って、翔の方を見ている。

 話の最中、玄勃派長は微動だにせず、じっと翔の目を見つめ続けていた。翔は緊張しながらも、ありのままに話した。

 

 翔が話し終わると、玄勃派長は背もたれにもたれかかった。

 「うむ。大体の経緯は分かったが、そんな不思議なことがあるとはねぇ……」

 「何かご存知ありませんか?」

 「と、言われてもねぇ……」

 「やっぱり、ばぁちゃんでもダメか……」

 シャオリンも玄勃派長に少し期待していた様だ。

 「いいだろう。この件は私が預かろう」

 「ほ、本当ですか?」

 「だが、あまり期待はせぬようにな。何せ常識では考えられぬことが起きているのだからねぇ。とりあえず、何か情報が入るまでは玄勃派に留まるといい」

 そう言うと、玄勃派長は立ち上がった。

 「ありがとうございます!!」

 翔も立ち上がり、深々と玄勃派長に頭を下げた。

 「それじゃぁ、後は頼んだよ、シャオリン」

 「は〜い。って、わたし!?」

 玄勃派長の言葉に、驚くシャオリン。振り向いた勢いで本棚が揺れている。

 「他に誰がいるんだい?」

 「だって、いま自分で預かるって……」

 シャオリンは必死に食い下がっている。

 「ここは見ての通り手狭だし、私は忙しいのでな。ましてや若い殿方を泊めるわけにも行かん」

 「だったら、うちだって……」

 「お前さんのところなら、出てった居候の部屋が空いてるだろ? 一人や二人増えたところでどうにでもなるだろう?」

 「一応、わたしも女の一人暮らしなんですけど?」

 シャオリンは何とかこの事態を回避したい様だ。

 「何か文句あるかい?」

 玄勃派長はシャオリンを睨みつけた。 

 「うぅ……何でもありません……」

 シャオリンは、玄勃派長の目力に屈した。

 「改めて、よろしくお願いします! シャオリンさん!!」

 「うぅ……しょうがないなぁ……」

 こうして翔は、シャオリンの家に厄介になる事が決まった。


【次回予告】


 玄勃派長さんの協力を取り付けた僕は、シャオリンさんの勧めで服を買うことに。

 やっぱりこの学生服じゃ目立つよなぁ〜

 次回 第肆話 【街の賑わい】

 この料理美味しいけど、これって……

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