今日は小生の個人的な趣味、つまりは独りよがりの文章なので、一見して興味ないやと感じられた方は読むのをお控えください
貴重な時間を労費しかねないのでw
実は小生、レビューサイトというのに密かに憧れていたりする
というわけで、しばしばレビューサイトごっこでも初めてみようかと思い立ったわけである
今日は先日読み終えた「臨床真理」という本を紹介する
(画像貼って大丈夫かしら?)
この作品は2009年第7回「このミステリーがすごい!」において大賞を受賞した作品である
筆者は「柚月裕子」、今作が処女作となる
本作は新人臨床心理士の女性が主人公で、彼女が初めて担当することとなるクライエントと出会うことにより、難事件に関わっていくという推理サスペンスである
読解後の感想としては、「推理もの」というジャンルからすれば、物足りないところがある
犯人もすぐにわかってしまう(故意的なのかもしれない)
しかし、この作品を形づける「素材」が実に良いのだ
この作品はタイトル通り、「臨床心理学」というのを前提に置き、それをフルに活用している
特にカウンセリングシーンの描写は痛快である
「カウンセリングにおいて、沈黙を恐れてはいけない、むしろ沈黙は尊重すべきだ」
など、一般人では知りえないようなカウンセラーの細かい技法などが実に繊細に描写されているのだ
この手の道に憧れている人(小生もその一人w)は、小説としてというよりも、教則本として一冊置いておいても良いくらいである
他にも、登場人物の大半が障害者やその関係者、医療関係者であるなど、筆者自身が読者に伝えたい「素材」を実にアグレッシブに活用されている
「社会的弱者である障害者と健常者」という醜悪なテーマを正統派のサスペンスに仕立て上げられている素晴らしい作品である
少し話は変わるけれど、小生は新人作家というのが大好物である
ある程度作風が安定してきた熟練作家だと、いろんな人に読んでもらいたいがために、作品自体を万人向けに近づけようとする傾向がある
しかし、新人作家というのは、特に処女作というのは大半が自分のために書いた独りよがり作品である
それ故に、「書きたいものを書き、それを伝えたい!」というアグレッシブ且つダイレクトな作風に仕上がっており、表現も過激だ
この初々しさは処女作ならではである
「万人向け」では越えられない一時的な底力がそこにはあるのではないかと、小生は思う
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